最後なので、VMware SD-WANについて書いてみる その1

VMware SD-WAN

はじめに

今まで数年間携わってきたVMware SD-WANから離れることになりました。
月日と共に知識や記憶は風化していき、VMware SD-WANのことを忘れてしまうと思いますので、ここに備忘録として残しておきたいと思います。というか、忘れないと新しいこと覚えられない、、。※SD-WANのVCP取りたいので、そのときのための振り返り用、、

VMware SD-WANとは?

VMware が2017年にVeloCloudというSD-WANベンダーを買収したSD-WAN製品です。
ガートナーのSD-WANマジッククアドラントではリーダーポジションの常連です。

VMware SD-WANの基本要素

VMware SD-WANの基本要素について、以下の順でご紹介します。
  • VMware SD-WANを構成する3要素
  • VMware SD-WAN3つのユーザー
  • VMware SD-WAN Edgeを利用するには
  • VMware SD-WAN Edgeのソフトウェアバージョン
  • VMware SD-WAN Edgeのインターフェイス
  • VMware SD-WAN EdgeとGatewayとの4つの接続種類
  • VMware SD-WAN Edgeが利用するトンネルVCMPとDMPO
  • VMware SD-WANのルーティング
  • VMware SD-WANのVPN

VMware SD-WANを構成する3要素

VMware SD-WANは、以下の要素で構成されます。

  • VMware SD-WAN Orchestrator
  • VMware SD-WAN Gateway
  • VMware SD-WAN Edge

VMware SD-WAN Orchestratorは、カスタマーにVMware SD-WAN Edgeなどコンポーネントを集中管理するためのUIを提供します。VMware SD-WAN Gatewayは、Edgeの①コントローラーおよび②トラフィックのゲートウェイを兼務します。Gatewayは、世界中に展開されており、Gatewayプールという単位でカスタマーに割り当てられます。VMware SD-WAN Edgeは、拠点やクラウドに展開するネットワークノードです。物理と仮想の2種類が提供されています。

VMware SD-WAN3つのユーザー

VMware SD-WANのドキュメントを理解する上で3つのユーザーを知っておく必要があります。

  • オペレーター
  • パートナー
  • カスタマー

VMware SD-WANには、①VMwareがサービスを提供するものと②ISPなどキャリアがサービス提供するものがあります。VMwareがサービス提供するVMware SD-WANで顧客(ユーザー)が操作できるのは、「カスタマー」のみです。ドキュメントには、オペレーターやパートナーでしか操作できない設定も含まれているケースがあるため、注意が必要です。ドキュメントには記載があるが、設定できないような項目がある場合は、オペレーターやパートナー権限で有効にしないとカスタマーでは操作できない場合があります。

例:

  • カスタマーがEdgeのソフトウェアを自由に変更したい

VMware SD-WAN Edgeを利用するには

VMware SD-WAN Edgeを利用するにはアクティベートが必要です。操作としては以下となります。
  • OrchestratorでEdgeを新規設定
    • Edgeで利用するアクティベートキーとURLを発行
  • 現地でEdgeを結線、起動
  • LAN側にクライアントデバイスを接続
  • Orchestratorで作成したアクティベートURLをクリック
    • またはアクティベートキーとパラメーターでアクティベート

アクティベートするとVMware SD-WAN EdgeからVMware SD-WAN Gatewayに対してVCMP(UDP2426)を利用したトンネルを構築します。このトンネルは常時、最低正副2つのGatewayと構築されたままとなります。VMware SD-WAN Edgeのソフトウェアバージョンは、アクティベート時に自動調整されます。そのため、事前にソフトウェアバージョンを合わせる必要はありません。

VMware SD-WAN Edgeのソフトウェアバージョン

VMware SD-WANはクラウドサービスです。新しいバージョンが出るたびに新しい機能が搭載されています。利用するときは、最新のバージョンのリリース情報を確認することをおすすめします。また、EdgeとOrchestratorのバージョンが一致しない場合があります。その場合、OrchestratorのUIで機能を使用できるように見えても、実際はEdgeのバージョンが古く対応していないため動かない場合があります。カスタマーテナントを提供された時点では、カスタマー自ら任意のソフトウェアバージョンを設定できないようになっているはずです。VMwareにSRを送付するか、1次代理店に依頼するとカスタマーが任意のソフトウェアバージョンを設定できるようになります。設定が反映されるとOrchestratorのメニューに表示されるようになります。ソフトウェアの変更は、クラウドからEdgeへ適用され、インストール後再起動されます。利用したいソフトウェアバージョンが一覧に表示されない場合は、VMwareへSRを送付します。

VMware SD-WAN Edgeのインターフェイス

機種によりますが、EdgeのWANインターフェイスはルーティングまたはスイッチのいずれかを選択します。スイッチの場合、VLANを設定します。スイッチの場合、動的ルーティングプロトコルが利用できない、トラフィックスループットに制限があるなど注意事項があるため、用途によっては注意が必要です。

VMware SD-WAN EdgeとGatewayとの4つの接続種類

VMware SD-WANとGatewayとの間には、Edgeの設置状況によって以下4つの役割を持つGatewayと接続します。
  • プライマリー
  • セカンダリー
  • スーパーゲートウェイ
  • 代替スーパーゲートウェイ
プライマリー、セカンダリーは、Edgeとコントローラーとの接続です。必ず構成される接続でEdgeの最寄りのGatewayが2つ選出されます。Gatewayの割り当ては、グローバルIPアドレスによるGeoロケーション判定または、Edgeに設定する住所が利用されます。スーパーゲートウェイ、代替スーパーゲートウェイは、VPN接続時におけるラストリゾート(最終手段)となるゲートウェイです。VMware SD-WAN Edgeは、ロケーションにより最寄りのGatewayが割り当てられるため、Edgeの設置場所によっては、1つも同じゲートウェイに接続しない場合があります。それを解消するのがスーパーゲートウェイです。スーパーゲートウェイ、代替スーパーゲートウェイは、プライマリー、セカンダリーと兼務することもあります。

Gatewayの4つの役割ではありませんが、VMware SD-WANの拠点間VPNにおいて、Ciscoなど他メーカーの製品とIPsecでGatewayと接続する場合は、状況により上記Gatewayに追加してEdgeとトンネルが構築されます。
例:
 Edgeは、GatewayA、B、C、Dと4本トンネルを張っている
 IPsec VPNで接続するGateway Eを利用する → 5本目のトンネルを張る 

Edgeが利用可能なトンネルの本数は、筐体により異なります。トンネルのカウントは、Gateway およびEdgeとのトンネル共にカウントされます。

VMware SD-WAN Edgeが利用するトンネルVCMPとDMPO

VMware SD-WANでは、DMPOという単語がよく登場します。

VCMPは、VeloCloud Multipath Protocol の略称です。VMware SD-WANのトンネルで利用される独自プロトコルです。UDP2426を使用します。

DMPOは、Dynamic Multipath Optimizationの略称です。VCMPトンネルを経由する通信にトラフィック補正やQoS、複数WANを束ねるアグリゲーション機能を提供します。

VMware SD-WANのルーティング

VMware SD-WANでは、以下5つのルーティングを使用します。

  • VCRP
  • コネクテッド
  • スタティック
  • BGP
  • OSPF

VCMPを利用するトンネルでは、VCRP(VeloCloud Routing Protocol)を利用した独自ルーティングプロトコルを使用します。スタティック、BGP、OSPFなどのルーティング情報をVMware SD-WAN全体のルーティングを管理するオーバーレイフロー制御(Overlay Flow Control)に広報する/しないをチェックボックスやフィルタを設定して制御します。

オーバーレイフロー制御(Overlay Flow Control)とは?

VMware SD-WAN全体のルーティングを集中管理して、VPNでつながるEdgeを1台のルーターのように扱うものです。VMware SD-WANのVPNにおいて、対象サブネットへのVPN出口をどのEdgeにするか指定します。

VMware SD-WANのVPN

VMware SD-WANのVPNで使用するプロトコル

VMware SD-WANのVPNは、以下のプロトコルを使用します。

  • VCMP
  • IPsec
  • GRE
VCMPは、VMware SD-WANやGatewayとのトンネルで使用します。IPsecは、EdgeやGatewayから他社製品の機器やクラウドサービスへトンネルを構築するときに使用します。GREは少し特殊です。Zscalerなどクラウドセキュリティサービスとの接続でGREトンネルを使用できます。

VMware SD-WANの拠点間VPN

VPNのトポロジ

VMware SD-WANの拠点間VPNは、ハブ&スポーク構成になります。

必ずVPNの「ハブ」となる対象が必要です。「ハブ」になれるのは、任意のEdge、またはGatewayです。「ハブ」間の接続は、ソフトウェアバージョン5.2以降で搭載されていますが、アーリーリリースレベルのため、この記事作成時点では、使用はしないほうが良いかと思います。ゲートウェイをハブとする場合、Premiumライセンスが必要です。

一時的な部分メッシュは可能ですが、フルメッシュ構成はできません。

拠点間VPNの種類

以下の4つあります。
  • ブランチから SD-WAN Hub
  • ブランチ間 VPN
  • ブランチから Edge 経由の Non SD-WAN Destination
  • ブランチから Gateway 経由の Non SD-WAN Destination
  • ブランチから SD-WAN Hub
    • 拠点間VPNで使用するハブを指定します。
  • ブランチ間 VPN
    • ハブ経由の拠点間通信を設定します。
    • 対象通信が生じた場合のみハブを経由せず拠点間で直接トンネルを張ることもできます。
  • ブランチから Edge 経由の Non SD-WAN Destination
    • ブランチEdgeからAWSなど他社製品・サービスとのIPsec VPNで利用します。
  • ブランチから Gateway 経由の Non SD-WAN Destination
    • ブランチEdgeとGatewayはVCMPトンネルを利用してGatewayからAWSなど他社製品・サービスとのIPsec VPNで利用します。
Non SD-WAN Destinationで他社製品・サービスとのIPsec VPNを構築する場合は、VMware SD-WANでは、一般的なクラウドサービスのVPNと同じように細かいパラメーターの調整ができないため、接続先側でパラメーターを合わせる必要があります。

今回はこのへんで。。その2へ続く、、。

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